はじめに
保育所保育指針で「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」
が書いてありますが、何だかよくわからないって印象を受けませんか?
この記事では、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿の中で、
「③協同性」について考え方のポイントを考えていきたいと思います。
私も、年長の担任をした時に、10の姿を意識をしたものの
何だかもやっとしたのを覚えています。
それなので、この記事では、
A~Dまでの4つの考え方のポイントにそって
②保育士の役割と
③具体的な内容
の3つのカテゴリーにまとめました。
この記事を読んで、明日からの保育のヒントを見つけ、
楽しい保育をしてくださいね。
③協同性
考え方【A,B,C,D】の4つのポイント
協同性を考える時に、私なりに
B.友だちの気持ちを知る
C.発達段階をみる
D.身近な大人との関わり
の4つのポイントの視点を持って
子どものとらえ方、保育士の役割と具体的内容について
解説していきます。
これが、正解ではないですが
こういう視点で物事を見ていくと、
目の前の子どもたちの姿をとらえやすくなります。
A.自我の確立
最初の「自我の確立」について、
これは、生まれてから大きくなるにつれて
自分の感情を出せるようになり、
それを言葉や態度で表しているかについて。
①子どものとらえ方
自我の確立を視点に、子どもをどうみるか。
それは、自己認識ができているか
身体について言語化できるかをみます。
「わたしは、こういうことをされたからいやなの!」
と言って泣いている子がいたら
それは、きちんと自我が育っている証拠ですね。
②保育士の役割
保育士の役割としては、
自分を理解できるようにかかわることです。
自分を理解すると言っても、難しいですよね。
ここでは、自分の感情を言葉にする力を育てることで、
自己理解を深めるという事を言っています。
③具体的な内容
そこで、自分を理解できるようにするとは、
どういう事かというと、保育士は感情を代弁することです。
例えば、目の前に泣いている子がいるとします。
その子はどうやら自分が使っていたおもちゃを
その場を少し離れた間に、友だちにもっていかれてしまったようです。
そういう場面での自分の気持ちを
泣くだけの表現をしている子どもに対して、
「感情を言語化する力」を育てていくようにするのです。
つまり、「そっか、おもちゃがなくなっちゃって
かなしかったんだね。」とか、
「急におもちゃがなくなって、びっくりしたね」とか、
具体的に感情を言葉で伝えてあげるのです。
保育士がこの力を伸ばすには、感情に対して
悲しい、つらい、悔しい、嬉しい、わくわくするなど
いろいろな言葉の種類を知っておく必要があります。
B.友だちの気持ちを知る
友だちと意見が違うという経験をする中で、
友だちにはこんな気持ちがあるんだなと
自分の事のように感じられる力。
私の経験上、女の子の方がこの力が高かったように思います。
でも、男の子にも知らせていきたい力です。
①子どものとらえ方
保育士は、子どもたちを見る時に、
その子は周りにいる仲間に関心があるかどうかをみます。
一定数、あまり友だちに関心のない子もいます。
一人遊びが得意な子たちです。
または、その集団の中で、自分と合う仲間が見つからない場合です。
そういう子たちにも相手の感情を理解できるように、
友だちはこういう気持ちだったんだよ、
と保育士が仲立ちとなって伝えていく必要はあります。
②保育士の役割
保育士の役割としては、友だちの遊びに理解を示し、
相手を尊重するモデルに自分がなるという事です。
保育士が子どもたちにかける言葉の選び方は本当に注意が必要です。
③具体的な内容
例えば、落ち着きがなくよく保育士から「部屋を走ると危ないよ」
「廊下は走らないで」「○○くんを叩きません!」と叱られている子が
いるとします。保育士がいつもいつもこの状態だったとして
「もー■■くんはいつもおちつきないんだから。」とつぶやくと
本人よりも、その一言を聞いていたクラスの他の子が
■■君によい感情を抱きません。
この仕組みが分かっていなかった私も、クラスで
「△△くんっていつも片付けしないで逃げちゃうよね」
なんて言っていました。
こういう先生の一言のイメージから仲間との関係を
作りにくくしている場合もあるので自戒を込めて
この記事を書いています。
また、遊びに集中したい子もいるので、
クラスの全体をみながら、
遊びの邪魔をしないようにする配慮もあるといいです。
「今、○○ちゃん、あそんでいるよね」
「遊び始めたばかりだから、たっぷりやらせてあげよう。」
「この遊びに満足したら、次にかわってくれるから、別の
遊びをやろうね。」と遊びの誘導もします。
C.発達段階をみる
協同性について考えると、
その子の発達段階をみながら対応していきます。
①子どものとらえ方
保育士として、子どもをどうみるかというと、
その子の感情表現が極端すぎないか、
または、感情を抑えすぎていないかを見ます。
2歳児だったら、感情のコントロールができなくても
当たり前ですが、5歳児だったらある程度コントロールする力も
できてきます。
でも、悔しくて泣いたり怒ったりはもちろんありますよ。
②保育士の役割
保育士の役割としては、
子どもたちの感情に自分の心を揺さぶられず
大人としての立場を忘れないことです。
子どもたちが感情的に怒っているときに、
感情的に叱るのはいけません。
③具体的な内容
例えば、子どもがふざけて先生のことを
「怒ってる顔、変な顔~。」なんて言って叩いたりからからかったとき、
自分が嫌だったから感情的に怒るよりは、
毅然とした態度で「それは、嫌な気持ちになるので、言いません!」
ときっぱり伝えてあげるといいです。
怒ることと何が違うのか、というと
子どもにとって、感情を直にぶつけられると
僕の言葉で先生が嫌な気持ちになったということに気づくよりも
僕は怒られてショックだった、という気持ちにとらわれてしまいます。
保育士は、ショックを与えるのではなく
どんなことをいってはいけないのかを知ること、
相手の気持ちを知ることを伝えるように関わります。
D.身近な大人との関わり
協同性は友だちとの関係だけでなく、
身近な大人との関わりも含まれます。
それは、先生だけでなく給食室の方や
地域の方も含まれます。
①子どものとらえ方
保育士が子どもを観察するポイントとしては、
身近な大人に援助を申し出られるかをみます。
自分が困ったときに、近くの大人に助けを求められる力です。
ただ、最近は防犯上の理由で地域の人たちと関わるときに
何だか変な距離があるのが残念ですが、ここは難しいですね。
②保育士の役割
保育士の役割は、まず子どもと保育士との信頼関係を築くことです。
その次に、保育士が身近な大人たちと協力している姿をみせることです。
例えば、園の周りの掃除をしている姿を子どもたちに見せたり
散歩先で地域の人と挨拶を交わすことで、
身近な人たちを信頼していく力を育てていきます。
③具体的な内容
身近な大人との信頼関係を築くには、
保育士自身がコミュニケーションを取る事も必要ですが、
もう一つみるポイントがあります。
それは、子ども自身が助けを求められているかをチェックして
もし、人に頼むことが苦手だと感じたら、
友だちと協力して楽しめる活動をいれていきます。
例えば、共同画。大きな紙にみんなで絵の具を塗っていき、
色をつけてあそんだり、おみこしなどの大きな製作物を
みんなで作り上げる機会をつくります。
その中で、役割を分担する経験や、
保育士の準備の手伝いをしてもらう機会を作って
あえて関わりをもつようにしてきます。
まとめ
以上、協同性を育てるためのポイントでした。